
Original Projects
音の憶 オトノイ
OTOnoi
作曲家シリーズ
Composers Series
オトノイは、作曲家の生命ともいえる作品を読みこみ、真実を伝え、消えゆく音が豊かな記憶となるよう願いをこめて”音の憶”です。中国系マレーシア人の友人から中国語で憶はYi(い)と発音すると教えられたことから名づけました。
20数年前、エマヌエル・ヌネス(Emmanuel Nunes)のアンサンブル曲を演奏した際に思いもよらない感覚をおぼえました。幼いころ、小児麻痺を患った彼が根源的にもつ肌感覚をそのまま味わったのです。ベートーヴェンのセレナード作品25を弾いた時には、明るく溌溂とした青年ルートヴィヒと出会ったような気がしました。クセナキスのヴィオラソロ”エンベリ(Embellie)”は複雑な記譜で一目見るなり譜面を閉じてしまうような超絶技巧な難曲ですが、作曲家の考える美とは何か探し求めるうち音の中に荘厳なギリシャ神殿を見、クセナキスの叙情性を心の底から感じとることができました。
このような体験は、私の大きな喜びです。解釈は何通りもありますが、私にはただ一つ、作曲家が聴きたかったものを音にするということ。培ってきた演奏技術を駆使し自分を楽譜にある音に近づけていく作業は、まるで遺跡での発掘作業のようだと思うのです。
オトノイは、私が日頃体験している音楽の喜びを聴衆に味わってもらう作曲家との出会いの場です。私が活動する中でめぐりあった作曲家たちは人間味あふれ、我々と同じ”人”だということ。ジャンルにとらわれず、良いものは良いと感じてもらいたい…そのような願いからプログラムを考えています。
音の憶3 ーネオ・センスー
OTOnoi-3
イ・ヨンウさん(ピアノ)、ジドレさん(ヴァイオリン)を迎えて、日本の現代作曲家の旗手・山根明季子さんの作品を中心に、メリッサ・ダンフィーやヤニス・クセナキスなど新しい時代を切り拓くプログラム。山根明季子さん本人も参加し、私たちを取りまく音を独自の感覚でとらえ音で表現しました。委嘱新作世界初演は、山根明季子作曲『回復魔法』。


26/12/2023
金沢市民芸術村 パフォーミングスクエア
音の憶2
OTOnoi-2
若き頃より憧れの巨匠、ピアノ高橋悠治さんを迎え、巧みな音づくりで人を生かす達人であるクラリネット山根孝司さんとともに。フェルドマンの書いた静けさに耳を澄まし クルタークへたどり着く。 シューマンは懐かしく豊かにひびき、高橋悠治へといざなう。高橋悠治作曲の委嘱新作世界初演『イオーン』を含む充実のコンサート。


23/04/2022
金沢市民芸術村 パフォーミングスクエア
音の憶1
OTOnoi-1
金沢市民芸術村レジデント・アーティストとして企画した音の憶シリーズの初回。金沢で後進を指導しながら絶えずクリエイティブな活動を続けているダンサー北井千都代さん。様々なジャンルで活躍しながら自身の道を探求し続ける実力派パーカッショニスト篠崎陽子さん。この2人の協力をえて、巨匠ルチアーノ・べリオ『ナトゥラーレ(自然)ヴィオラ、パーカッション、シチリア民謡によるテープのため』を上演。また、木曽の木遣りなど日本の風土に根づく山びとの歌や祭から触発された2018年委嘱作、平野一郎『くぐのちのうたをどり』を再演。そして、ラトヴィアのヤニス・ペトラスケヴィチ『狂人のグローブ ヴィオラソロのための』、杉山洋一『河のほとりで』2つの委嘱新作世界初演を行った。


27/03/2021
金沢市民芸術村 パフォーミングスクエア
アンサンブル・プロジェテ
Ensemble Projeté
「アンサンブル・プロジェテ」の“プロジェテ”は、J・P・サルトルによれば「意識を時間化し、それを未来に投影する」と、まさに新しい音楽を実践していく、そのものを意味することにもなっていると私は思っている。___湯浅譲二
作曲家と聴衆の媒体として、楽譜に書き示されたものを最良の表現で客席へ届けることを喜びとする室内楽アンサンブル。その名は湯浅氏によって命名された。
音の憶プロジェクトのはじまりともいえるアンサンブル・プロジェテは、湯浅譲二氏をメインコンポーザーに迎え、ピアノ大宅さおり、ヴァイオリン西野優子、松岡麻衣子、チェロ荒井結ら4名の精鋭と共に開催し好評を博した。



24/03/2016
渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
あなたのために
For you
室内楽シリーズ
Chamber Music Series
今ここに捧げる…
日々誰かのために書かれてきた音。いつの時代もそれは、そこにいる“あなた”に捧げられてきました。
作曲家が書き上げた珠玉の一曲を集め、特別なひとときをお贈りする般若佳子主催の室内楽コンサート“あなたのために”プロジェクト。不定期に開催しています。



